八月も終わった晩夏の避暑地
朝もやにかすむ駐車場でひとり
車のシートに体を沈める
早朝のひんやりとした空気の中に
車は心地よく乾いたエンジン音を
響かせはじめた
しあわせという言葉が似合わない
街のくらしから逃げ出したくて
ひとり訪れた静かな避暑地
ゆっくりと流れるやわらかな時間が
疲れきった身体を包んでくれた
このままずっとこの時に
抱かれていられたならどんなに・・・
でも
ドアの下にはさんだ手紙
読み終えたなら捨ててください
つかの間の夏の出来事を
しまっておきます大切にして
朝もやに濡れた小さなミラーが
ふりそそぐ日差しに乾いたとき
この夏のすべてが想い出に・・・
私はひとり街に帰ります
だから
I have to say GOOD-BYE
イメージ/避暑地にテイルを向けて BY 椎名 恵