海

春の列車に乗って 海に行こう
約束は ずっと先だったけど
急に 海が見たくなって
一人で 出掛けた

風は 冷たくて
体の芯まで 凍えそうなのに
何も感じられない

あの日 二人で歩いた砂浜は
波にさらわれて 跡形もない

二人で歩いてきた 時間さえも
そこには 感じられない

笑い方や喋り方も
あなたが そのまま
ここにいるような
そんな気がするのに
話すとあなたの言葉が
そのまま 出てくるのに

あの海には
何も残っていないけど
私の中にだけ あなたが
残っているのね


詩/みゆき 「:優作:のつたえたい気持ち/みゆきギャラリー」より

 

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