私、お弁当屋さんをはじめました。
学校を卒業して準備をはじめ、やっと小さなお弁当屋さんを開くことができました。お父さんは不満そうでしたがお母さんは積極的で「自分も手伝う」と言ってくれたので、お父さんも渋々納得しました。
場所はどこにしようかと考えた末、学生街にしました。あいつの所でみんなが一生懸命といった感じでお弁当を食べている姿が忘れられずに「食べ盛り」って連中に私のお弁当を食べてもらいたくて学生街にしました。
あいつは卒業後、地元にあるラグビーで有名な会社に入って、これからもラグビーを続けていくそうです。私は相変わらずラグビーのことはよくわからないのですが、あいつと知り合いだというと「サインをもらって」なんて言われるところを見ると結構有名みたいなんですね。「これからは時々食べに来てやるから俺のサインした写真を飾っておけ」なんて言っています。あいつが中学の遠足の時に私のお弁当を取って逃げようとして池に落ちたときの写真でも飾って置いてやろうかな。
それにしてもあいつはいつまで私のお弁当を食べ続けるつもりなんでしょうね。ひょっとしたら、これからもずうっと食べに来るつもりだったりして。それならそれで私も一生懸命特別のお弁当を作ってあげるけれど。でも、お弁当を作るだけでいいのかなぁ。
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